農園の一年

富士柿ができるまで

粗皮削り・剪定(せんてい)・枝焼

12月〜2月粗皮削り・剪定(せんてい)・枝焼

富士柿作りは寒い冬にこそ肝心な作業があります。
『粗皮(あらかわ)削り』とは、木の皮を削って、皮の中で越冬する害虫の越冬場所をなくすことで、害虫の発生を抑え、農薬を最小限にして安全な柿を作っています。
果実の高品質化と品質の均一化を目指します。また、『剪定(せんてい)』は日本一大きい富士柿を作る上で一番大切な作業です。混み合った部分の枝数を少なくして風通しをよくし、樹幹に日光が当たりやすいようにして、また、切り落とした枝は作業の邪魔になり病害虫の温床となるため、すぐに拾い集めて焼却処理をします。

施肥・農園整備

3月施肥・農園整備

この時期は発芽に向けて園内整備をします。園内を走るモノレールは勾配のある段々畑での作業には欠かせない機械です。地盤の風化や金属の劣化などを点検し、場合によっては地盤から整備しなおします。
発芽を待つこの時期は、発芽後の枝の成長や開花・結果のために『施肥(せひ)』と言って、土壌に肥料(栄養分)を補給します。根からの吸収には時間がかかるので、丸京農園では、有機肥料と化学肥料を富士柿の特徴を考えて配合したものをこの時期から与えています。

発芽・摘雷

4月〜5月発芽・摘雷

春の陽気に誘われて、この時期から富士柿の赤ちゃんつぼみが顔をだします。しかしこのままだと一つの枝にたくさん蕾がつきすぎて、日本一の大きさに成長しません。
そこでひとつひとつ手作業で、つきすぎた芽を摘み取っていく『摘雷(てきらい)』という作業をします。ここで重要なのが、収穫までの被害(台風、病気など)と自然落下(生理落下)を考えて、残す芽の数を決めることです。

ここで長年の経験や技術が生きてきます。
開花・剥皮(はくひ)・草刈り・消毒・追肥

5月~6月開花・剥皮(はくひ)・草刈り・消毒・追肥

5月になると蕾が開いて淡い黄色の花が咲きます。開花後は、『環状剥皮(はくひ)』と言って結果母枝の一部をハサミやのこぎりで輪っか状に皮を切り取ります。 こうすることで果実肥大、糖度の増加、品質向上、成熟促進、細菌病の防除が期待できます。
また、この時期は日差しも強くなり恵の雨も降る一方で、農園の雑草ものびのび育ってきます。丸京農園では、除草剤は最小限にして、人による草刈りも併行しています。安全な柿を皆様に食べて頂くため、農薬も必要な時期に必要な濃度・回数で、安全性が認められたもののみを使用しています。この時期には夏の成長に向けての栄養補給、追肥(ついひ)を施します。

摘果(てっか)・草刈り・灌水(かんすい)""

7月〜8月摘果(てっか)・草刈り・灌水(かんすい)

暑さが厳しい夏も、日本一大きい富士柿を作るための作業が盛りだくさんです。
『摘果(てっか)』といい、枝につきすぎた実や害虫の被害で正常には育たない実、形に悪い実などを、全体のバランスと空間を考えてひとつひとつハサミで摘み落としていきます。
また、扇状地という土地柄、水はけが良く果樹園には適しているこの土地も、近年の異常気象により雨が少ない年もあり、手作業で1本1本に水を与えます。

マルチ(反射)シート・摘葉(てきよう)

9月〜10月マルチ(反射)シート・摘葉(てきよう)

涼しい風が秋を感じさせるこの頃は、蓄えられた栄養をぐんぐん吸収して富士柿が巨大化する成長の時期です。
成長著しいこの時期に、実にまんべんなく日光が当たるように、『マルチ』と呼ぶシルバー色のシートを園内に敷き詰めます。このシートで日光が反射して、園内を暖め、葉の裏側まで光を届けることで、色づきの良い糖度の高い富士柿ができます。また園内の雑草の徒長も抑制してくれるので、除草効果もあり土にも人間にも優しい農法です。この時期に、実の周りにある葉は、実に当たってキズを付けやすいため、『摘葉(てきよう)』と言って、実の周りの葉を一枚一枚手で落として行きます。
こうすることで表面にキズの少ない綺麗な富士柿ができます。

収穫・脱渋(だつじゅう)・お客様向け販売

10月〜12月収穫・脱渋(だつじゅう)・お客様向け販売

とうとう収穫の時期。この時期が一年で一番忙しい時期です。家族総出で毎日朝から暗くなるまで手作業で収穫していきます。富士柿は収穫時は渋柿です。とても渋くてそのままでは食べられません。収穫後はアルコールを施し、自社専用室(むろ)で寝かせて渋を抜く『脱渋(だつじゅう)』作業を行います。脱渋行程には5日から1週間という時間がかかり、そのときの気温にも左右されるため、絶妙なタイミングで味を仕上げてお届けするのには長年の経験と緻密なスケジュールが大切になってきます。
脱渋が完了して甘くなった富士柿は、丸京農園が手がけた認定ブランド「媛富士」として、手作業で選別され、梱包し、当日または翌日には皆様の元へ発送致します。

加工・事業者様向け販売

11月〜12月加工・事業者様向け販売

丸京農園では、富士柿の成果の発送だけでなく、規格外品の富士柿を利用した加工品など、6次産業化への取り組みも行っています。 愛媛の温暖な気候とその巨大な大きいさのため、カビが発生したり黒色化しやすく、富士柿で干し柿をつくることは難しいとされ、取り組む農家は皆無でした。
しかし当園では、企業と連携し、地域初の「富士柿の干し柿」を製造・販売に取り組んでいます。また、和食料亭や旅館、ホテルなど事業者様向けにも富士柿を日本を代表する「季節食材」とし使って頂けるよう販売しています。

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